第73代横綱・照ノ富士春雄が歩んだ相撲人生は、大相撲の歴史においても類を見ないほどの激動と劇的なドラマに満ちています。度重なる怪我や病気により、大関から序二段まで番付を大きく落としながらも、そこから奇跡的な復活を遂げて横綱へと登り詰めた軌跡は、多くの人々に感動を与えてきました。
2026年1月に行われた引退相撲を経て、現在は伊勢ヶ濱親方として後進の指導にあたる照ノ富士のこれまでの歩みと、歴史的な功績、そして現在の姿を徹底的に紐解いていきます。
第73代横綱・照ノ富士春雄のプロフィールと基本情報
照ノ富士 春雄(てるのふじ はるお)は、1991年11月29日生まれ、モンゴル国ウランバートル市出身の元大相撲力士であり、第73代横綱です。本名は杉野森 正山、帰化前の名前はガントルガ・ガンエルデネです。身長192cm、体重176kgの恵まれた体格を誇り、伊勢ヶ濱部屋に所属していました。
子供の頃から歌や踊りが好きで目立ちたがり屋だったという一面を持つ一方で、土俵上では圧倒的な圧力と懐の深さを活かした取り口で数々の強豪を圧倒しました。2021年8月には日本国籍を取得し、名実ともに日本相撲界の顔として長く君臨しました。
前人未踏の「序二段陥落」から横綱昇進までの軌跡
照ノ富士の相撲人生を語る上で欠かせないのが、度重る大怪我による深刻な不振と、そこからの驚異的なはい上がりです。大関昇進を果たした後、両ひざの故障や内臓疾患などに見舞われ、驚異的なスピードで幕下、そして序二段まで番付を下げました。
通常の力士であれば引退を余儀なくされるほどの絶望的な状況でしたが、本人の不屈の闘志と地道なリハビリ、そして周囲の支えにより土俵に戻り続けました。番付を下げてからの復帰戦となった平成31年春場所初日の取組を「思い出の一番」として挙げており、自身の相撲人生を「2回楽しんだ」と表現するなど、類まれな精神力の強さを示しました。
【データで振り返る】照ノ富士春雄の主な経歴と相撲人生の歩み
ここでは、照ノ富士春雄の入門から横綱昇進、そして引退に至るまでの主な経歴を時系列の表で振り返ります。
| 時期 | 出来事・階級 | 備考・主な実績 |
|---|---|---|
| 2011年 | 初土俵 | 間垣部屋(のち伊勢ヶ濱部屋)から初踏み |
| 2015年 | 大関昇進 | 新鋭の勢いを見せ、若くして大関の地位に就く |
| 2017年〜2018年 | 序二段陥落 | 度重なる怪我と病気により番付が急降下 |
| 2021年9月場所 | 横綱昇進(第73代) | 序二段からの復活としては史上初の横綱昇進を果たす |
| 2025年6月 | 年寄・伊勢ヶ濱襲名 | 現役引退に伴い、指導者の道へ進む |
| 2026年1月31日 | 引退相撲 | 両国国技館にて断髪式および最後の横綱土俵入りを実施 |
数々の復活優勝と驚異的な精神力・名言の背景
横綱昇進後も、膝や肋軟骨の負傷などにより休場を余儀なくされることが少なくありませんでした。しかし、復帰場所での勝負強さは圧倒的であり、3場所以上連続で全休した横綱が復帰直後の場所で優勝を果たすなど、34年ぶりとなる歴史的な復活劇を何度も成し遂げています。
横綱審議委員会からもその責任感や敢闘精神が高く評価されてきました。また、「1日1日を無駄に過ごしたくない」という言葉に代表されるように、自身の甘えを徹底的に排し、常に自分に厳しく向き合う姿勢は、多くのファンや後輩力士たちに強烈な印象を残しました。
2026年1月の引退相撲と次世代への継承
2026年1月31日、両国国技館にて盛大に引退相撲が執り行われました。最後の横綱土俵入りでは、長男とともに土俵に上がり、露払いに大の里、太刀持ちに豊昇龍の両現役横綱を従えるという非常に豪華な顔ぶれが実現しました。
断髪式では約330人がはさみを入れ、入門時の師匠である宮城野が止め鋏を入れるなど、これまでの人望の厚さが伺える感動的な式典となりました。今後は伊勢ヶ濱親方として、「自分に嘘をつかない、自分を曲げない力士を育てたい」という強い信念のもと、次世代の強い力士の育成に情熱を注いでいます。
【照ノ富士春雄】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:照ノ富士が序二段から横綱に昇進したのは史上初ですか?
A1:はい。大関昇進後に怪我や病気で序二段まで陥落した力士が、再び大関へ復帰し、さらに横綱にまで昇進したのは大相撲史上初めての快挙です。
Q2:引退後の現在の活動は何をされていますか?
A2:現役引退後は年寄「伊勢ヶ濱」を襲名し、伊勢ヶ濱親方として相撲部屋で後進の指導や育成にあたっています。
Q3:引退相撲はいつ行われましたか?
A3:2026年1月31日に両国国技館にて開催され、多くの関係者やファンが見守る中で盛大に行われました。
第73代横綱・照ノ富士春雄の軌跡は、どれほどの逆境や絶望的な状況に直面しても、強い意志と日々の地道な努力を重ねることで、不可能を可能に変えられるということを私たちに教えてくれます。
大相撲の歴史に数々の金字塔を打ち立てたその不屈の精神は、これからは指導者である伊勢ヶ濱親方として次の世代へと受け継がれていきます。土俵を離れてもなお進化し続ける彼の今後の活躍から、ますます目が離せません。